忘れがちな「大切」に気づいた日々

下呂ふるさとワーキングホリデー生:秦 菜々美さん(大学生)
受入れ事業者:ソラノイエ 農村滞在型の宿(下呂市上原地区) 滞在先:ソラノイエ 農村滞在型の宿

■今回、下呂ふるさとワーキングホリデーに参加したきっかけを教えてください。

今年の8月頃に別の地域のワーホリに参加し、ゲストハウスに10日ほど滞在しました。その際に、ゲストハウスというコミュニティによって人と繋がれる面白さや人と生活する楽しさを知りました。その影響もあり、ゲストハウスに興味を持っていたところ、次のワーホリ先としてソラノイエを見つけたのがきっかけです。

■期間中は、どんなお仕事をしましたか?

稲刈りや脱穀、畑仕事や薪割り、取材やチラシ制作など様々な仕事を体験しました。

稲刈りや脱穀は地元の方たちと協力して行いました。一面に広がる稲と空の美しさに感動しながら、一生懸命働きました。稲刈りはかなり大変な作業でしたが、終わった後は確かな達成感がありました。

畑仕事や薪割りでは、畑で収穫した野菜を使って料理を作ったり、薪割りで割った薪で暖炉や釜土に火をつけたりしました。自分で収穫した野菜を食べる、自分で割った薪で暖をとるという貴重な経験ができました。

取材では、特産品の記事を作成するために店舗や会社に行き、お話を伺いました。取材をする上で質問を考えることに苦労しましたが、様々な分野について学べ、興味が深まりました。

チラシ制作は、個人的にお願いしてやらせていただいた仕事です。地域のイベントのチラシを制作したのですが、デザインを考え、形にする過程が本当に楽しかったです。改めて、自分はデザインすることが好きなのだと気づきました。
■滞在中の暮らしは、どうでしたか?
ワーホリに参加する前、ワーホリ生と仲良くなれるだろうかと不安を感じていました。しかし、いざ蓋を開けてみると、ずっと笑っているほど楽しい日常が待っていました。年齢も違う。出身も違う。そんな3人でしたが、打ち解けるのは一瞬でした。私たちの場合は観光にあまり行かず、ゲストハウスで過ごす時間が多かったのですが、「ここにいるときが一番楽しいよね」とみんなで話すくらい日常が楽しかったです。皿を洗ってるだけでも笑いが起こるような賑やかで最高な日々でした。
■地域の方々とはどんな交流がありましたか?
滞在先がゲストハウスなため、特にお客さんとお話する機会が多くありました。ゲストハウスのお客さんは、以前ワーホリに参加した方や子どもから大人まで様々な方がいました。一緒に晩御飯を食べたり、カフェに出かけたり、ボードゲームをしたり楽しく過ごしました。

 

また、交流会もあり、他の就労先のワーホリ生や地域おこし協力隊の方々とお話しました。私は地域おこし協力隊に興味があったため、地域おこし協力隊になった理由や仕事内容など、詳しいお話を伺っていました。

 

■今回の滞在を一言で表すと?

“大切”です。

同じような毎日を過ごしていると、忘れがちな大切に気づけました。

食材や環境、人や物など、普段から隣り合うものをどう大切にしていくかを考えるきっかけになりました。

例えば、食材や環境面では、椎茸の茎は出汁をとるために捨てなかったり、稲刈りが終わった後でも落穂を拾ったり、自然にやさしい石鹸を使ったり。些細なことなのかもしれませんが、個人的には衝撃を受けました。

他にも、人との出会いを繰り返したことでこの縁を大切にしたいと思い、出会った人からメッセージをもらう旅ノートを作り始めました。

物事を大切にすることに疎かった私でしたが、ここでの日常を通して、自分の身の回りに存在するものを大切にしようとする意識が芽生えました。

食材や環境、人や物など、当たり前がたくさんある中で、その当たり前を大切に生きていくという視点に気づけたことが、自分にとってはとても大きな経験でした。

■今回の滞在で得た学びやこれからの人生で生かしていきたいこと

今回の滞在では、進路が決まってない3年生の自分にとって、将来像を模索するという目的がありました。私にはやりたいことがたくさんあり、そのどれもが魅力的に見えて、選べないという悩みがあります。そのため、そのすべてを体験して選択するために、この時間は重要だったと思います。このワーホリを通して、ゲストハウス、地域おこし協力隊、農業、デザインなど、自分の中で興味のある事柄に触れることができました。同時に、自分以外の人の話を聞いて、他にもこんな生き方があるのだということに気がつきました。今回の滞在で感じた気持ちや出会いを大切に、これから自分がどのように生きていきたいのかをじっくり考えていきたいと思います。