観光地で働き過ごす、唯一の体験

下呂ふるさとワーキングホリデー生:石井 瑞希さん(大学生)
受入れ事業者:合同会社 下呂プリン(下呂市湯之島) 滞在先:GEROBAL HOSTEL

■今回、下呂ふるさとワーキングホリデーに参加したきっかけを教えてください。

大きく3つあります。

1つ目は下呂プリンさんの募集に惹かれたからです。

旅館やアクティビティスタッフの募集が多い中、観光地で名物を販売するお仕事の募集は珍しく思いました。また、私自身食べ物が好きで、食べ物関係に関わりたかった点もあります。

2つ目は、昨年の悔しさです。昨年の夏、他県のふるさとワーキングホリデーに参加予定でした。しかし受け入れ予定日の1週間前に緊急事態宣言により中止となり、「今年は1人でもなんとしてでも行きたい」という強い思いが背中を押してくれました。岐阜県に行ったことがなかったため、行ってみたいという思いもありました。

3つ目は事務局さんの頻繁な発信です。他地域のワーキングホリデーのサイトやSNSは更新が長く途絶えているところもあったのですが、下呂市はとても頻繁に更新されており、安心感を感じました。

この3点により、あまりためらわず勢いで応募しました。

■期間中は、どんなお仕事をしましたか?

下呂プリンの製造をしました。

プリンにゼリーやさくらんぼを入れる、空き瓶を並べカラメルを入れる、焼きあがったプリンに蓋をしてシールを貼る、返却された瓶を洗う、季節のフルーツをカットする、などを行いました。接客はしませんでしたが、裏で配送用や持ち帰り用の箱の制作もしました。

お肉の天狗さんの駐車場の草抜きもしました。(天狗さんでもお世話になる予定でしたが、プリンが忙しかったため、夏休み期間にお邪魔しました。)

■滞在中の暮らしは、どうでしたか?

とても充実していました。

普段実家暮らしのため1人で2週間暮らすのは初めてでしたが、宿泊先の方がサポートしてくださったので特に問題なく過ごせました。

お仕事自体は1500で終わることが多く、その後の時間をどう過ごそうか戸惑うこともありました。しかし下呂温泉街は色々なものがあったため、足湯を巡ったり地元のスーパーに行ってみたりしました。1人だからこそお土産屋を1時間かけてじっくり見られました。滞在の後半には、就業先の同年代のアルバイトの子が一緒に下呂を回ってくれて、地元に住んでいるからこそ知っている知識とともに下呂を案内してくれました。地元グルメも一緒に堪能できて楽しかったです。

また、就業先の方が下呂の夏祭りやお店、飛騨高山など沢山の場所に連れて行ってくださいました。
丁度テレビ取材があったため、その見学をさせていただきました。本物の撮影現場や撮影の裏側を見ることができたり、女優さんやADさんと少しお話できたりして嬉しかったです。

■地域の方々とはどんな交流がありましたか?

色々な方と出会えました。
毎週土曜日のお祭りでは、受け入れ先の方のお知り合いに沢山お会いしました。
皆さんここに住み続けていて幼いころからよく知っていることを学びました。連れて行ってくださったご飯屋さんは、受け入れ先の方のお母様の元お家であったり、またいとこさんやいとこさんが経営されていたり、そうでなくてもお店の方と仲が良いなど、地域内の深いつながりが垣間見えました。反面ハメを外しすぎると一気に広まるため、どこか気を張ってしまうことも実感しました。
観光地で働く者同士という共通点から、仕事関係の話題になることもあり、地域内では仕事とプライベートを完全に切り離すことは難しそうだと思いました。飛騨高山に行った際にも、現地のお店を観察し自店舗と比較し「何でも勉強だな」と仰っていました。

とても素敵な喫茶店にも連れて行ってくださったのですが、お客さんは地元の人は少なくほぼ観光客だと聞きました。
また下呂には沢山足湯がありますが、就業先のアルバイトの子は「入ったことがない」「ほとんど入らない」と言っていました。私も自分の地元のカフェにはあまり行かないため、「近くだからこそ行かない、気付かない魅力があるな」と感じました。そして、自分の地元の魅力をもっと探してみたいと意欲が湧きました。

受け入れ先の方のご両親はお肉屋さんを経営されていて、ほぼシャッター街となった萩原の商店街で「町のお肉屋さん」として活躍されていました。売り場だけでなく作業場も見学させていただきました。そのようなご両親とも夜ご飯をご一緒させていただき、ご家族の温かさを感じた上に、経営者としての視点を沢山学びました。

交流会では、普段お話しできる機会のない市長を始め移住された方々、他の就業先で活躍するワーホリの仲間など一日の中で沢山の出会いがありました。滞在先のホステルのオーナーさんも数年前に下呂に移住しゲストハウスを始められた方で、様々なお話を聞けました。

■今回の滞在を一言で表すと?

唯一の体験です。
■今回の滞在で得た学びやこれからの人生で生かしていきたいこと

2週間で下呂市のことだけでなく、人生についてや自分について、経営について沢山の学びを得ました。
まず一言で「下呂」と言っても様々な顔があり奥深いことを学びました。そのため、長く住んでいる地元でも家の周辺だけでなく市内を見に行きたいと思いました。